男性はとかく、結婚後も日々の忙しさに追われて日常性に流され、自分を振り返ってみることも忘れがちになります。
けれども大きな出来事1たとえば子供の誕生、家族や知人の死、転職、子供の独立などーがあると、流れている時間が止まり、ふと自分を振り返ることができます。
またそういう出来事は、パートナーとの関係について見つめ直すきっかけにもなります。
そういう大きな出来事は、たいてい前ぶれなくやってくるので、心理的に動揺しやすいものです。
けれども、平素から時おり自分の生活をゆっくり見つめ直す習慣をつけておくと、何かあったときに慌てないですみます。
ある夫婦が語った話です。
彼ら自身の言葉によれば、二人は惰性で結婚生活を続けてきました。
それが、二人いる息子たちがたてつづけに独立して家を出て行った後、深く物思いにふけることになったのです。
それまでの二人は、よくある平凡で退屈な中年夫婦以外の何ものでもありませんでした。
時間は自動的に流れていき、
二人の愛も情熱もはるか遠くに忘れ去られ、ふと気づけば口論ばかりしている毎日でした。
二人は自分たちの状態を振り返り、若かったころのことを思い出し、そしてこの袋小路から抜け出すことに決めたのです。
まず、お互いの間に広がった溝を埋めるため、彼らは毎日二十分間だけ、なんでもいいから自分の気持ちを相手と分かち合うことにしました。