たまに、外から見ると完壁にうまくいっているように見えるカップルがいます。
また、映画などにもそういう夫婦が登場することがよくあります。
しかし、問題を抱えていない夫婦などこの世に存在しないというのが真実なのです。
どんな夫婦も、努力をしなければならないという点ではみな同じです。
あるとき、新しく引っ越してきた一家を見て、近所の人々はなんと素敵な一家だろうと思いました。
けれども、結婚して十年になるその夫婦は、実はほとんど崩壊寸前の状態にあったのです。
一家は日曜日には教会に通い、買い物も夫婦そろって出かけるなど、人前では仲のいい家族のように振る舞っていましたが、夫婦間のコミュニケーションはもはや断絶していました。
二人は外見を取りつくろっていただけで、家に帰ればあらゆることが非難の応酬の原因になっていたのです。
その女性は、当時を振り返ってこう言っています。
「実質的にはすでに離婚していたのと同じだったのです。
家のなかで私たちは、まるで離婚した後で子供たちに面会に来ているみたいでしたから。
あれでは同居離婚ですね。
でも、私は男性側を非難しながらも、心のなかでは自分も同じくらい悪いんだってことはわかってたのです。
けれども言い合いが始まると、そういうことも頭のなかから消えてしまって......」
二人は結婚カウンセラーを訪ね、カウンセリングを受け始めました。
壊れかかった関係を元に戻すのはたやすいことではありません。
まず最初にしなければならなかったのは、二人の間に横たわる最大の問題はこじれにこじれた感情的な確執であることを認め、自己中心的な考えをなくすことでした。
二人がようやくまともに話し合いができるようになったのは、それからだいぶ月日がたってからのことです。