仲人は、結納品を台にのせたまま、本人の前に向きを変えてさし出し、次に家族書と親族書をのせた片木盆を、同様に向きを変えて差し出します。
結納品を差し出されて、本人もしくは父親が謝辞を述べます。
「このたびの縁談につきましては、ひとかたならぬお世話になりまして、まことにありがとうございます。
また本日はお忙しい中をまことにご苦労さまでございます」
次に、結納品の中の目録を手にとり、おしいただくようにして開いて目を通し
「けっこうなご結納をいただき、厚くお礼を申しあげます。
喜ばしく、幾久しくお受けいたします」
と、しきたりどおりの口上を述べます。
そして、母親が進み出て、結納品を胸の高さにささげ持つようにして運び、床の間に飾ります。
昆布茶、桜湯などと、紅白のめでたい菓子、もしくは、上品な和菓子で仲人の労をねぎらい、ひきつづき本膳料理でもてなします。
本膳料理をお酒や赤飯、鯛などの略式にする場合や、あるいは、茶菓のもてなしだけにして、「酒肴料」として、金一封を贈る場合もあります。
このあいだに、本人はひとまず床の間に飾られた結納品の中から目録をとり出し、別室でざっとあらためてから、結納の受書を書きます。
目録と同じように書き並べて行けばいいわけですが、印刷された市販のものを利用する場合は、結納の年月日、本人の名前、宛名だけを書きこみます。