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平凡だけど素敵な出会い

人のソーシャルワーカーの女性が結婚したときのいきさつです。

あるとき、友達のご主人が、「ある男性を紹介したいから会ってくれないか」と訪ねてきました。

その人は彼の会社の同僚で、とてもいい人だというのです。

彼女はちょっと尻込みしていましたが、とりあえず電話で話をすることに同意しました。

二、三回電話で話をしてみると、感じのいい人でした。

その人は音楽が好きだと言い、彼女も音楽は大好きだけれど特にジャズが好きだと言うと、彼はジャズのコンサートに彼女を招待しました。

それは遊覧船の上で行われるコンサートで、その夏の人気のある企画でした。

当日、彼女はシャンペンの小瓶と紙コップを買って、密かにハンドバッグの中に隠して出かけました。

桟橋に向かう車の中にバッグがあるのに気づくと、彼は「中を見てもいいよ」と言います。

のぞいてみると、フランスの高級シャンペンと本物のシャンペングラスが入っていました。

彼女は笑って、自分が持ってきた安物のシャンペンと紙コップのことは言わないことにしました。

船が出ると彼がそのシャンペンを開け、二人は乾杯しました。

コンサートも素晴らしかったけれど、夜の海のクルーズも最高でした。

船は十時に桟橋に戻りましたが、二人はその後も桟橋で夜中の一時まで語り合いました。

彼は親切で善良な人でした。

その彼らは、今年で結婚三年目になります。

彼女は初めて彼と会ったときには少し不安でしたが、「世の中に善良な人は絶対にいる」と言っています。

平凡な話でも、それが一番いいのです。
たまに、外から見ると完壁にうまくいっているように見えるカップルがいます。

また、映画などにもそういう夫婦が登場することがよくあります。

しかし、問題を抱えていない夫婦などこの世に存在しないというのが真実なのです。

どんな夫婦も、努力をしなければならないという点ではみな同じです。

あるとき、新しく引っ越してきた一家を見て、近所の人々はなんと素敵な一家だろうと思いました。

けれども、結婚して十年になるその夫婦は、実はほとんど崩壊寸前の状態にあったのです。

一家は日曜日には教会に通い、買い物も夫婦そろって出かけるなど、人前では仲のいい家族のように振る舞っていましたが、夫婦間のコミュニケーションはもはや断絶していました。

二人は外見を取りつくろっていただけで、家に帰ればあらゆることが非難の応酬の原因になっていたのです。

その女性は、当時を振り返ってこう言っています。

「実質的にはすでに離婚していたのと同じだったのです。

家のなかで私たちは、まるで離婚した後で子供たちに面会に来ているみたいでしたから。

あれでは同居離婚ですね。

でも、私は男性側を非難しながらも、心のなかでは自分も同じくらい悪いんだってことはわかってたのです。

けれども言い合いが始まると、そういうことも頭のなかから消えてしまって......」

二人は結婚カウンセラーを訪ね、カウンセリングを受け始めました。

壊れかかった関係を元に戻すのはたやすいことではありません。

まず最初にしなければならなかったのは、二人の間に横たわる最大の問題はこじれにこじれた感情的な確執であることを認め、自己中心的な考えをなくすことでした。

二人がようやくまともに話し合いができるようになったのは、それからだいぶ月日がたってからのことです。

男性 結婚

般的にいって、男性と女性の結婚後の関係に関して私たちが抱くイメージの多くは、映画やテレビや雑誌などのマスコミを通じて得られることが多いものです。

そこで生じる問題は、私たちは日常的にそれらのものにさらされているのに、それについて落ち着いて考えることがほとんどないということです。

エンターテインメントの世界は現実世界ではないことを理解し、そういうものがあなたの思考の基盤とならないよう、常に疑問を投げかける習慣をもってください。

二十代を対象に行ったある調査によると、「最高の相手と出会うまでは結婚しない」と考えている人が多いそうです。

若者のそういう傾向について、ある社会学者は「非常に非現実的であり、危険な考えだ」と言っています。

その理由は、彼らはそのように考えることによってハードルを非常に高くしており、そのため多くの人は、結局は希望が実現できないのだというのです。

この社会学者によると、若者たちがあまり深く考えずに恋愛を途中で簡単に投げ出し

者たちは「その間は家族のことを少し忘れてもいい」と言い、奥さんも支持すると言うので、彼はその言葉を信じたのです。

しかしその結果がどうなったのかというと、彼が政治の世界にいる間に夫婦の関係は崩壊してしまったのでした。

彼は人々の勧めに乗ったことを後悔し、自分を責めました。

それから十年たった今、彼は当時を振り返り、「家族をないがしろにしたことは人生最大の失敗だった」と言っています。

ああいう大きな決定をするときには、人の言うことはほどほどに聞き流して、自分の内面の声にもっと耳を傾けるべきだったと悟ったというのです。

ただし、「自分のエゴのために人の意見を聞かないというのは避けなければならない」ともつけ加えています。

男性 結婚

50年ぶりの愛の復活と再婚

どんな男性でも、結婚するパートナーの過去を知りたいと思う気持ちがあるのが普通です。

特に、結婚相手がかつて真剣に交際していた相手とか、一緒に暮らしたり結婚していた人については、そのいきさつのすべてを知りたいと思うのが人情です。

けれども、相手の過去に過剰な関心をもつのは、結婚前の2人にとって有害でしかありません。

あなたは過去の人と競争する必要はないのです。

過去の人は、現在のあなたと彼女には関係ないのですから。

あなたが何を言おうが、何をしようが、相手の過去を変えることはできません。

2人の将来を確固としたものにするには、過去の出来事にいつまでもこだわっていないことです。

時が来るまでに半世紀もかかることがあります。

第二次大戦が始まる少し前に、2人の高校生が恋をしました。

彼は一学年上で16歳、彼女は15歳でした。

彼が十八歳になって徴兵されたころ戦争が激しくなり、彼はヨーロッパに送られました。

彼は旅立つ前、彼女に「自分のことはかまわないから、いい人がいたらその人とつき合うように」と言い残しました。

この先どうなるかわからない自分のために、彼女は束縛されるべきではないと考えたのです。

そして三年後、負傷して除隊となって帰国した男性は、彼女がすでに他の人と結婚していることを知りました。

その数年後、彼も別の人と結婚して、2人はそれぞれ幸せな家庭を作りました。

それから長い時が流れ、47年後に彼女の夫が、48年後に男性の妻が亡くなりました。

2人が結婚した相手は共にとてもいい人たちでした。

2人とも相手には昔のことを話してあり、当時交換したラブレターも取ってありましたが、嫉妬されることはなかったといいます。

2人は共通の友人を通じてお互いの消息を知っていました。

そしてお互いにパートナーを失って落ち込んでいるときに再会しました。

そして50年ぶりに友情が復活し、愛も復活しました。

そしてまもなく、彼らは結婚したのです。

それまで歩いてきたお互いの軌跡に対して、2人が嫉妬することなどありません。


男性 結婚

結婚前の男性が機嫌悪くなるとき

休日は多くの人にとって待ち遠しいものですが、ある男性にとっては苦痛をもたらすものでしかない場合があります。

たとえば、休日には結婚を控えたパートナーに対して何か特別なことをしなくてはいけないとか、絶対に二人そろって何かをしなくてはならないと考えている人がそれです。

内心にそういう期待や要求があると、「もしそれを実行しなければ、二人は楽しくやっていないことになるのではないだろうか」という恐れがわき起こります。

そういう男性のなかには、圧迫感から逃れようとして、立てた計画を無意識のうちに自分でつぶしてしまったり、わざと婚約相手との関係を壊すような行動に出る人がいます。

具体的にいえば、計画の難点をあれこれ並べ立てたり、計画を急に変更したり、機嫌が悪くなったり、口論を始めるなどがよくあるパターンです。

このように、「望みどおりにならないことに対する恐れ」が原因でダメになる結婚前のカップルはたくさんいます。

恐れを感じ取ることは大切ですが、過剰反応は百害あって一つもいいことはありません。

「うまくいかなくてもかまわないのだ」「居心地が悪くてもいいではないか」と考え、それが人間なのだということを理解することが大切です。


ある男性の結婚・再婚カウンセラーが告白したことがあります。

この男性カウンセラーは、結婚や再婚のことだけでなく、人生のさまざまな問題を抱えた人たちの相談に応じていて、その分野では評判の高い優秀な人です。

多くの人が、仕事と家庭、健康、余暇の時間の使い方などのバランスの取り方について相談に来ます。

ところがあるとき、男性カウンセラーは言いようのないむなしさを覚えたというのです。

彼がいうには、相談に来る人に対するいいアドバイスというのは、彼らが自分の力では発見できないようなことを教えてあげるということではなく、時間がたてば本人もわかるかもしれないことでも、四十年かかるところを二年に短縮してあげることなのだそうです。

そして、意識の焦点を何に合わせたらよいのか、また、将来はどうなる可能性があるか、の二つの点について考える手助けをするのだそうです。

このように、結婚カウンセラーは毎日多くの人たちの人生相談に応じ、「自分は人々の役に立っている」という仕事上の喜びは大きいのですが、ふと自分自身の人生を振り返ったときに、何も満たされていないことに気がついたのです。

男性は自分について考えを巡らせたところ、仕事とプライベートな生活のバランスが取れていないことに気づきました。

他人が満たされた人生を送る手助けばかりしていて、自分のことがなおざりになっていたのです。

その後も男性カウンセラーは人のためにいい仕事をしていますが、今では毎日一回立ち止まって、自分の幸せについても考えるようになったということです。


男性 結婚

ある男性の心理学者が語ってくれた結婚後の若い夫婦の話です。

二人はともに将来に野心のある人たちでした。

けれども幼い子供がいるうえ、大学に通っていたので、彼らは結婚したときに「まず女性が働いて男性を先に卒業させ、次に男性が働いて彼女を卒業させる」という約束を交わしました。

初めの数年は順調でした。

ところが彼女が大学を終え、大学院に入ったころから状況が変わってきました。

男性が子育てと家事に音を上げはじめ、彼女の大学院に金がかかりすぎるとか、こんなに時間がかかるとは思わなかったと苦情を言うようになったのです。

まもなく彼女は大学院を卒業して就職し、これで問題はなくなったと思っていました。

ところが、今度は彼女のほうが高給取りになったため、彼は家庭内で力のバランスが崩れたように感じて自信を喪失してしまったのです。

この心理学者によると、こういう問題は近年増えているといいます。

特に、奥さんのほうが仕事が忙しかったり、夫より出世してしまった場合、いくら初めに「二人で協力してやっていこう」と約束していても、だんだんおかしくなってくることが多いのだそうです。

そういうときに、女性が男性の不満を満たそうとして主婦の役を完壁にこなそうとすると、無理が高じて自分がパンクしてしまうこともあります。

結婚したら、お互いを比較するのではなく、相互サポートの大切さを二人が共に理解することが大切です。

私たちは何かを決めるときに、単にネガティブな結果が出るのを避けようとしているだけのことがあります。

それは結婚前のカップルの間のことでも同じで、そういう理由で物事を決めると事態はますますおかしくなって、不満足な状態がさらに続くだけになります。

何かの決定をするときには、ネガティブなことを避けるためではなく、ポジティブな結果を求めて決めるよう努めましょう。

デートをするようになってから数週間のうちに一緒に住み始めた若い男女がいました。

男性には衝動的なところがあって、その素早い決断にも自信たっぷりでした。

まもなく彼らは婚約し、数カ月後には結婚式をあげました。

結婚後、初めのうちはよかったのですが、まもなく男性は、細かいことにうるさい奥さんに束縛感を感じるようになってきました。

なんでもきちんとしていないと気がすまない性格の女性に対して、男性はどちらかというと大ざっぱで自由を好むタイプだったのです。
「やはり、十分に相手のことを知らないうちに結婚を急いだのが裏目に出た」と男性は感じました。

それでも二人は、しばらくの間はなんとか一緒に暮らしていました。

二人とも幸せではなかったにせよ、別れようとまでは考えなかったのです。

ローンで家も買ってしまったし、いまさら友人や家族に「結婚したのは間違いだった」とは言えません。

特に、「あまり急がないほうがいい」と忠告してくれた人たちには「だから言ったじゃないの」と言われそうで、うまくいっているようなプリをしているしかありませんでした。

二人の破局は、さらに六カ月ほどたってようやく訪れました。

我慢は限界に達し、結局離婚したのです。

ある男性結婚カウンセラーの言葉

ある男性結婚カウンセラーは、カウンセリングに訪れるカップルに対して、「たとえどんなに忙しくても、時間とエネルギーを作り出して、相手に対する興味を失わないように努力しなさい」と説いています。

愛というのは、意識的にそういう努力をしない限り育たないというのです。

そのためには、相手の気持ちを察することを日常生活の一部にしてしまい、たとえケンカをしているときでも、そのことを忘れないようにすることが大切だと彼はいいます。

この男性結婚カウンセラーによると、そういう行為は二人のよい関係を維持するために必要な投資のようなものであり、そこには自分を犠牲にする精神が含まれていなければならないということです。

なぜなら、カップルというのは"同士"のようなものだからです。

ここでいう"犠牲"とは、「自分はやりたくなくても、それで結婚相手が幸せになるのならやる」ということです。

「ケンカして腹が立ったからといって、心を閉ざして口をきかなくなるというのは一番まずいんです。

それは自分たちに投資するのをやめてしまうということですよ。

石のようになった人を愛せる人はいません。

たとえ難しくても、心のまわりに砦を築かず、お互いに相手に対して傷つきやすいままでいることです。

意見の衝突やケンカというのは、うまく処理できれば、結婚後の2人をさらに強く結びつけるために役立つのですから。

そのためには、問題にばかり注目して衝突を拡大するのではなく、問題を解決させることのほうに注目することです」と彼は言っています。

結婚後に価値観は変わる

企業に勤める男性と、大学病院でインターンをしている結婚相手の二人から聞いた話です。

あるとき、この男性にまたとない出世のチャンスが訪れました。

彼のために会社が新しい部署を新設するというのです。

一生に一度あるかないかのような昇進の話に、彼は興奮しました。

ところが問題は、そのためには1000キロも離れた遠くの町に引っ越さなくてはならないということでした。

男性は考えた末、その話を辞退しました。

その理由は、奥さんが病院のインターンで忙しくて大変だったからです。

彼女は毎日十二時間の勤務に加え、四日に一度は夜勤が入ります。

とても引っ越せるような状況ではありません。

この男性らは毎月、お互いのスケジュール表を見ながら、一緒に数時間過ごせる休みをいつ取るか考えます。

そういうとき、彼女はいつも、男性が彼女に予定を合わせてくれるように頼みます。

ようやく二人そろって一週間の休みが取れたとき、彼らは海外旅行に行きました。

男性が出世のチャンスを逃してまで自分に合わせてくれたことに、彼女は心から感謝しています。

「皮肉な話ですよね。私は結婚したばかりのころ、野心家で仕事の鬼のような彼に魅力を感じていたのですから。

それが今では、私のために自分を犠牲にしてくれる彼の姿に、改めて魅力を感じているのです。

二人にとって一番大切なのは何かということについて、彼の意識が変わったのです。

それから私たちは、二人で一緒に暮らすということの意味がわかってきたんです。

インターンが終わったら、私、彼が行きたいところにならどこへでもついて行きます」と彼女は言っています。


あるシニア男性の結婚後の歴史

結婚したカップルのうちどちらかが仕事で嫌なことがあって疲れていたり、あるいは相手が言ったことにカチンときていらだっているようなとき、2人の間にはテンションが増して嫌な雰囲気が流れています。

そんなときには、どちらかが二人の好きなCDでもかけてみたらどうでしょうか?

2人の疲れた脳に音楽がしみわたり、テンションは消え去って、2人のいらだった気分は落ち着いてくるかもしれません。

このように、音楽は人の心をなごませ、元気を取り戻させるカをもっています。

それに、2人で同じ音楽を一緒に聞くというのは、とても重要なコミュニケーションにもなります。

93歳のシニア男性が説教してくれました。

「年を取ると、人からはボケたか悟りを開いたかのどちらかだと思われるけどね、一つだけ説教してあげよう。大事なのは"ギブアンドテイク"の精神と、"黄金律"に従うことの二つだよ」

すると、90歳になる男性の奥さんがこう続けました。

「それから、お互いを許すことね」

この男性らは十代のときに田舎のダンスパーティーで知り合いました。

それから2人であちこちにダンスに出かけるようになり、2年後に結婚しました。

そして彼らは、結婚してから最近に至るまでの人生のほとんどを、小作農として苦労するだけのような生活を送ってきたのです。

けれどもそれは、苦しくても幸せな人生だったと二人は言います。

「長い間、電気も来ない生活だった、と言っても人はなかなか信じてくれないけどね」と彼らは笑います。

そんな彼らを救ったのは、家にあった古いピアノでした。

余暇には彼がバイオリンを弾き、彼女がピアノを弾いて楽しい時間を過ごしました。

いまでも時々二人で演奏すると、十代のころのダンスパーティーに戻ったような気分になるそうです。


私たちの価値観は若いうちに形作られ、その後の人生を通じてずっと維持されることが多いものです。

このことはあなたにも、あなたが結婚相手として選んだ男性パートナーにもいえることです。

したがって、もし二人の価値観が変わらないと仮定するなら、お互いに共存できるような価値観をもっている二人のほうがよい関係を維持しやすいということです。

二人の結びつきの強さは、信頼感と良好なコミュニケーションが保たれるかどうかによって決まりますが、それはお互いの価値観を分かち合うことにより促進されます。

同じようなことを信じている二人は安心感が増し、考えや感情を分かち合うことができて、それがさらによい結果を生むからです。

ある男性は三十歳のとき、人生の頂点にいました。

この男性の結婚相手は、仕事の面では人気テレビ番組の共同プロデューサーであり、プライベートな面では二人の子供をもつ母として幸せな家庭生活を送っていたうえ、少し前に書いたいくつかの曲が有名歌手に歌われてヒットしていたのです。

さらに彼女はオフ・ブロードウェイの小劇場のオーナー兼マネージャーでもあり、そこでは時々、彼女が脚本と曲を書いた作品を上演していました。

まさに人生の春を謳歌していたといってもいいでしょう。

そんな絶頂にあった彼女を突き落としたのは、医師の一言でした。

ガンが発見され、すぐ手術しなくてはならないというのです。

頂点から奈落に突き落とされた彼女の、その後の長い闘病生活を支えてくれたのは夫でした。

彼は彼女が助からないかもしれないという恐怖に耐えながら彼女を励まし続け、語り合って支えてくれたのです。

そして彼女はついに回復を始めました。

「彼は私たちにとって一番大切なことは何かがわかっていたのです。

二人が許し合い、愛し合って生きることの大切さを。

どんな病気も、私たちの命を結びつけている根本的な絆を変えることはできなかったのです」とは彼女の言葉です。


愛とお金は無関係?

女性が将来の男性のパートナーのことを考えるとき、長い間には最も重要でなくなることに注意を向けてしまうことがあります。

その一つが、理想の男性パートナー(=結婚相手)は"お金持ち"であるかどうかということ。

実際に生活を始めてみれば、持っているお金の額など、その人に対する評価になんの影響も与えなくなるでしょう。

ある教授が学生たちに、人生で本当に重要なものは何かを考えさせるため、彼らの両親が若いころ抱いていた夢はなんだったか知っているかとたずねました。

そして教授は、「もし収入のことを考えなくていいなら何をしたかったか」を父親に聞いてくるように言いました。

学生たちが持ち帰った親たちのかつての夢は、やり残した夢や今まで忘れられていた夢など、数限りないさまざまなものでした。

そこで教授は学生に、もしお金のために仕事を選ばないでよかったなら、親たちはどうなっていただろうか、と問いかけました。

教授の話によると、彼の父親は会社の経理課に勤めて一生を送った人でした。

本当はリンゴ園を経営したかったのですが、父親は一度も挑戦したことはなかったそうです。

教授は、父親が果樹園の夢を口にしたときのことを忘れたことがないと言っています。

次に、教授は学生たちに、彼らの親はどれくらい収入の面から人生を語ったことがあるかとたずねました。

どれくらいの金を手にして、どれくらいが手をすり抜けて行ったのだろうか、というようなことです。

学生たちが親の"夢"と"現実の人生"のギャップに考えをめぐらせた後、教授はこう言いました。

「あなたがたのなかには、人生はお金の上に築かれるとか、将来のパートナーとの関係もお金を中心に築かれると考えている人もいるかもしれませんが、お金のために仕事を選んで、心の底から幸せになった人がどれくらいいましたか?」

人生に愛と意味を与えてくれるものは、お金とは無関係です。

結婚している男性も、決まった相手と交際している男性も、当然ながらそれ以前からつき合いのある古い友人がいます。

そういう友人はもちろん大切ですが、時として現在のパートナーとの生活にうまく適応しないことがあります。

というのは、パートナーとの新しい生活は一人でいたときの生活とはまったく違うので、古い友人たちとは関心事や取り巻く状況が違ってくるのが普通だからです。

そのため、古い友人とのつき合いがぎくしやくしてきたり、彼らとパートナーとの間に挟まれて対応に苦慮することもまれではありません。

そこで、古い友人とは別に、カップルの友人をもつことを推奨します。

古い友人にもパートナーができてカップルになっていればそれが一番いいのですが、そうでない場合には、共通の関心事をもち、お互いにパートナーを含めて四人で一緒につき合えるカップルの友人を何組かもてれば、つき合いはずっとやりやすくなります。

ある心理セラピストは、「デートをしていた二人が真剣につき合いだすようになると、周囲にいる友人との関係が大きく変わってくるLと言っています。

彼女によれば、つき合いが深くなってきた二人は、少なくともしばらくの間、友人を排除するようになる傾向があるのだそうです。

その傾向の強さの度合いは本人たちや友人の精神的な成熟度によって変わってきますが、場合によってはその友人が仲間外れにされたように感じることもあるといいます。

意識的であってもなくても、私たちはとかく「いいことは自分のせい、悪いことは相手のせい」にしたがる傾向があります。

たとえば、意見が合わないことがあればそれは相手のせい、素敵な店で食事をして素晴らしい晩を過ごせたらそれは自分の手柄、のような具合に。

まず、自分もパートナーも共にこのような見方をしやすいということを理解してください。

そして、いいことが起きたときには相手の貢献もあったことや、悪いことが起きたときには自分のまずさもあったことを受け入れられれば、二人の関係はずっと素敵になるでしょう。

結婚して60年になる男性がいいアドバイスをしてくれました。

二人がうまくやっていくための秘訣はいろいろあっても、突き詰めればそのカギは、「ごめん」と「ありがとう」の二語につきるというのです。

この男性はこう言っています。

「私たちは結婚したときから、なんでも二人で決めて一緒にやっていこうと決めていました。二人がお互いに自分を犠牲にして、やりがいのあることに一緒に挑戦することで、私たちは一緒に満足感にひたることができると思うのです」

今日の男女関係と、半世紀前のものを比較した調査によると、二人がコミットしているレベルにはほとんど違いがみられないものの、両者が自分の意思によって交際し、自分の意思で結婚や離婚ができる自由があるかどうかという点で大きな違いがありました。

称賛も非難も二人で分かち合うことが大切です。


男性はだれでも、自分が生きている世界についての基本的な考えをもっています。

そしてそれらの考えは、その人の人生とすべての行動の基本になっています。

ですから、もしあなたが結婚したパートナーとの生活に何が必要かを知りたければ、まず自分はどんな人間かを知ることです。

あなたの興味のあること、信じていること、選んだ仕事などは、すべてその男性の性格の根本的な部分を反映しています。

ですから、あなたが何を望み、何を選択しているかは、たとえそれがパートナーとは直接関係ないことであっても、あなたがその人との関係に何を必要としているかを暗示しているのです。

役所で結婚届けを受け付ける係をしている女性が言いました。

「バレンタインデーが近づいてくると、その日も窓口が開いているかどうかを問い合わせてくる電話が多くなります。

それで、開いていますよって言うと、みんなホッとしたような声を出すのです。

その日に結婚しようとする人は多いんですね。

でも、これから一緒になろうという人たちを相手にする仕事をしていると、彼らの内面の喜びがよく伝わってきて、そういう気持ちをもつことの大切さを毎日思い出させてくれていいですね」

おかげで彼女は、ご主人との生活においてもそういう気持ちを失わずにやっていくことの大切さを忘れないですむと言います。

それでご主人はよく「離婚届けの受付係と結婚しなくてよかった」と冗談を言うそうです。


結婚後にエアコンでもめる男性

結婚したパートナーが何を考え、どんな気持ちでいるかを知るのは、男性にとって時に難しいことです。

男性は無意識のうちに、自分の考えや気持ちをもとに推測しようとしますが、その危険性はいうまでもないことです。

そうするほうが楽なのでついそうしてしまうとはいえ、現実的に考えれば、相手の気持ちをもっと注意深く考えなければならないというのは、だれにもわかることでしょう。

よく、彼女は寒がりで彼は暑がり、というカップルがいます。

彼女は何枚も着込んでいるのにまだ寒いと言い、彼はTシャツ一枚で涼しい顔をしている、という具合です。

このように気温に対する感覚の違う二人は、まさに「違う人間同士は引き合う」ということの好例かもしれません。

この問題を解決するための重要なポイントは、体の新陳代謝のように自分の力ではコントロールできないことに対して、二人がどのように対処するかという点です。

こういう二人は、冬は暖房のことで、夏は冷房のことで、いつももめます。

そしてなんとか妥協して夕食後のテレビを見て、さて寝る時間となると、また「クーラー強くしたでしょう!」「してないよ!」という争いが始まるというわけです。

心理学の専門家によると、多くの人は「愛している」と言いながら、相手の立場に立って考えていないことが多いのだそうです。

相手の身になって考えていないことのいい例は、このエアコンの他にも、食事の時間、何を食べるか、寝る時間や起きる時間、などがあります。
男性の多くは一日の大半の時間を仕事に費やしています。

そして若いうちから仕事の大切さをさんざん説かれ、よく働けば報われると教えられています。

けれども、結婚したパートナーとの良好な関係を維持するためにすべき努力や、そういう努力をすることによって私たちがどう報われるかについてはほとんど教えられることがありません。

一言でいえば、仕事というのはただがむしゃらにがんばればいいというものではないのです。

遅くまでずるずるといつまでもやっていないで、家に帰ったら仕事のことは頭から消し去って意識を切り替えてください。

最近はホームオフィスといって、自宅の一室を改築したり、家を増築したりして事務所にすることがよくあります。

フリーランスの人はもちろん、会社勤めの人でも、職種によっては通勤時間をカットして仕事の能率を上げるようにするため、出社するのを週に一日か二日にして、家で仕事をするシステムがあるのです。

知り合いに、このホームオフィスを専門にデザインする建築家がいます。

彼がいうには、ホームオフィスは"家庭"と"オフィス"という二つの面をもっているので、当然ながら両方のニーズを満たすには限界があるものの、うまく作れば非常に機能的なものができるということです。

また、彼の考えでは、ホームオフィスというのは一日中そこにこもって仕事をするための部屋ではなく、夕方五時になったら電気を消して、その部屋を出れば"我が家"に戻れるものであるべきだそうです。

そしてそのために重要なのは、片づけの技術です。

仕事上の間違いを防ぐためばかりでなく、精神衛生上からも、仕事の時間が終わったらすべて片づけ、心を切り替えてプライベートな時間に意識を移すことが大切です。

ある調査では、若いころに対人関係で不安を抱かせられることのない環境で育った人は、大人になってから社会的に安定した対人関係をもつことのできる割合が、不安を抱かせられることが多かった人より31パーセントも高かったといいます。

クリントン政権時代の政敵、アメリカ共和党のギングリッチ院内総務は、十八年間生活を共にしてきた二人目の奥さんにある日突然、「新しい女性ができたので離婚したい」と言い出しました。

けれども彼はそのとき、その女性とは六年前から密かに交際してきたことを言いませんでした。

彼の奥さんは、一般の人と同じように、そのことを彼の弁護士がテレビの記者会見で述べているのを見て初めて知ったのです。

実はギングリッチ氏はその六年前、田舎に住む年老いた奥さんの母親が病気で死にかけていて、彼女がその町とワシントンを往復するために家を空けることが多くなったころに、その女性と密会を始めていたのです。

彼女の弁護士によれば、ギングリッチ氏は最初の奥さんと離婚したときには、その奥さんがガンの手術を受けて病院で療養しているときに離婚届けを書いていたということです。

その弁護士はこう言っています。

「ギングリッチ氏は人間をあたかも使い捨て用品のように見る傾向があり、用がなくなればポイと捨てて新しいものと交換してしまうことをなんとも思わない人なのです。彼のそういうところは、愛する人に対しても変わるところがありません。私の知るところによれば、彼は成人してからずっと、さまざまな分野でこのパターンをくり返してきております」


結婚後に大切になる夫婦の友情

愛情関係ほど明確ではないにせよ、友情にもそれと同じくらいのコミュニケーション技術と無私の態度が必要です。

長い間にわたってお互いをサポートし、自分を相手に合わせるように努力することは、二人の愛情にも友情にも共に必要なことなのです。

パートナーとの友情に自信をもち、その友情を持続することができれば、愛もまた持続できるということを知ってください。

知人のある夫婦は、二人とも同じ小学校の体育の先生をしています。

彼らはそこで出会い、職場結婚をしたのです。

結婚式には学校の同僚たちと教え子全員を招待しました。

彼は、彼女が人と接するときの態度が好きだといいます。

彼女は生徒に接するときも、同僚や友達やその他どんな人と接するときも変わらないそうです。

彼には、彼女が喜びをもって人と接していることがわかるのです。

彼女も彼の人との接し方が好きだといいます。

彼女によれば、彼は人に対して誠実で、それは彼の最大の長所の一つだそうです。

彼女にとって彼は誠実な友人であり、誠実な同僚でもあるのです。

生徒を教えるときにはそういう誠実な態度が必要だと彼女は考えています。

そしてもちろん、お互いに対する誠実さはどんなカップルにも必要です。

「一番大切なことは信頼できる友情です」と彼女は言っています。

男性はとかく、結婚後も日々の忙しさに追われて日常性に流され、自分を振り返ってみることも忘れがちになります。

けれども大きな出来事1たとえば子供の誕生、家族や知人の死、転職、子供の独立などーがあると、流れている時間が止まり、ふと自分を振り返ることができます。

またそういう出来事は、パートナーとの関係について見つめ直すきっかけにもなります。

そういう大きな出来事は、たいてい前ぶれなくやってくるので、心理的に動揺しやすいものです。

けれども、平素から時おり自分の生活をゆっくり見つめ直す習慣をつけておくと、何かあったときに慌てないですみます。

ある夫婦が語った話です。

彼ら自身の言葉によれば、二人は惰性で結婚生活を続けてきました。

それが、二人いる息子たちがたてつづけに独立して家を出て行った後、深く物思いにふけることになったのです。

それまでの二人は、よくある平凡で退屈な中年夫婦以外の何ものでもありませんでした。

時間は自動的に流れていき、

二人の愛も情熱もはるか遠くに忘れ去られ、ふと気づけば口論ばかりしている毎日でした。

二人は自分たちの状態を振り返り、若かったころのことを思い出し、そしてこの袋小路から抜け出すことに決めたのです。

まず、お互いの間に広がった溝を埋めるため、彼らは毎日二十分間だけ、なんでもいいから自分の気持ちを相手と分かち合うことにしました。


昔を美化しない

男性はとかく、昔のことに対して必要以上にポジティブなイメージを抱こうとする傾向があります。

昔はもっとのんびりしていた。

もっとゆったりしていて楽だった。

家族の結びつきはもっと強かった......。

確かに、だれもが認めるように「家族」や「結婚」の概念はこの50年の間に大きく変わりました。

今や離婚率は前代未聞の高さです。

でも、だからといって昔のほうがよかったかというと、必ずしもそうとは言い切れません。

昔の結婚には、本人の意思とは無関係に決められてしまうものも多かったのです。

そしてもちろん、離婚など許されず、それが世のしきたりということで一生不幸な結婚生活を送ることを余儀なくされた人もたくさんいました。

なぜなら、彼らにはそれより他に生きる方法がなかったからです。

もちろん現代には現代の困難があります。

いい相手がなかなか見つからない、結婚はしたもののよい関係を維持できない、世の中が忙しくなりすぎて二人がゆっくりできない......。

けれども今の時代には、昔はなかった可能性の大きさや行動の自由があるということにも目を向けるべきです。

二人の強い結びつきをはぐくみ、現在だけでなく遠い将来も幸せでいるには、自分一人の考えだけで努力するのではなく、相手の立場に立ってものを見ることのできる能力が必要です。

とはいえ、いくらそのことが頭でわかっていても、くたくたに疲れている状態では、なかなか実行するのは難しいことです。

あなたとパートナーが共に満足のいく時間を過ごすためには、ゆっくり休みをとり、リラックスしていることが必要です。


ある調査によれば、自分の体を好きな人は、そうでない人に比べて、いい結婚生活を送っている確率が59パーセントも高く、仕事がうまくいく確率は48パーセント高かったといいます。

これは、男性でも女性でも同じ傾向が見られました

もしあなたが自分の体を好きでなければ、人がそれをどう思ったところで、どのみちあなたは居心地悪く感じることでしょう。

そしてもしそういう気分になれば、あなたの自信はすり減り、パートナーと良好な関係を維持するのも難しくなってくるでしょう。

理屈には合わないことですが、私たちが自分の体に対してもつイメージは、それと無関係なあらゆることに影響します。

たとえば、自分の体にポジティブなイメージをもっている人は、行動するときの態度にもポジティブな姿勢を維持しやすいものです。

ただし、このことは私たちが映画や雑誌に登場するような"完壁なスタイル"をしていなければならないということではまったくありません。

そういう"完壁な体"というのは、メディアが作り出した人工的なイメージであり、現実にはまず存在しないのです。

そのような非現実的なイメージに惑わされることなく、真に健康的な生活習慣とポジティブな考え方をもつよう心がけてください。

だれでも、どういうわけかヘアスタイルが決まらない日というのがあります。

心理学者の研究によると、そういう日はどんな人でも自信が低下し、対人関係がしっくりしにくく、積極性がなくなり、自分を責めることも多くなるそうです。

夫婦においては、仕事から引退した後には家庭内での役割分担が変わることもあるということや、人生の新しい目的を設定し直す必要があることなどを話し合っておくべきです。

そうすることによって、生活の変化によって生じるストレスを減らすことができ、二人がその後もいい関係を続けていくことがより容易になるからです。

かつて元気に仕事をしていたころには苦労もまた人生の喜びの一つだったとすれば、退職後の生活も、十分に準備して迎えることができれば、また喜びとすることが可能になるでしょう。

男性と女性の結婚後の良好な関係は、両者が対等であるという概念の上に築かれます。

対等であるということは、それぞれがお互いを独立した個人としてリスペクトし、大切にするということです。

たとえ二人が理想的なカップルでも、それぞれが追求している目標は異なっていておかしくはありません。

二人の強い結びつきは、片方が他方の犠牲になることなく、お互いが追求する目標をサポートしあうことによって生まれます。

ちょっと変わったカップルがいます。

彼らは七年前から一緒に暮らしていますが、二人はその決断をする前に、後々もめないようにじっくりと話し合いました。

どう変わっているのかというと、彼女は大企業に勤めるエリート社員でほとんど仕事中毒といえるくらい忙しいのに対して、彼はアーティストでいたってのんびりしているタイプなのです。

二人には収入の安定度の点でも大きな開きがあります。

そこで彼らは、お金のことや家事の分担についてすべて平等に分担するという取り決めをしました。

今のところ、このシステムはうまく機能しています。

結婚後の男女の意見の相違

結婚後の男性と女性の関係においては常に乗り越えるべき困難な問題があるのが普通であり、すべてが完全である必要はありません。

そこで私たちに必要なのは、事態が改善されて問題が解決する潜在的な可能性があるかについて、常に注意を払うということです。

持ち上がる問題はすべて解決しなければならないということではないし、意見の相違を完全になくそうと奮闘する必要もありません。

けれども、現在の問題が将来解決するかどうか、あるいは将来忘れることができるかどうか、または少なくとも重要なことではなくなるか、といったことには常に注意を向けている必要があるでしょう。

コーネル大学の調査によると、仕事から引退した人の多くは、その後何カ月も生きる目的の喪失感を味わっており、していた仕事が好きでなかった人でもそれについては同じだそうです。

そこで同大学の研究グループは、退職する人に対して、早めに人生の転機に対する計画を立てておくことをすすめています。

たとえ退職によってそれまでより生活環境がよくなる場合でも、長らく携わっていた仕事から退くときには苦痛が伴い、

その後も気分がすぐれない日がしばらく続くということを予測しておく必要があるというのです。

ある女性が"理想の男性"と結婚したときのことについて話してくれました。

彼は有名大学を出て将来有望な仕事をし、収入も多くてハンサムで、明るくて、最高の男性でした。

ところが、結婚して時間がたつにつれ、彼は心の底から本心を明かさない人だということがわかってきたのです。

いつまでたっても、彼女には彼が本当は何を考えているのかがよくわかりません。

ついに彼女は、彼がもともと他人に心を開かない性格の人間だということを悟ったのです。

その数年後、二人は別れました。

彼女は今、その男性との結婚生活を振り返り、こう言っています。

「もし、夫の役をうまく演じてくれる俳優を雇ったのだったら、彼は最高の名優でした」

深刻な衝突のある夫婦の半数以上では、夫か妻のどちらかあるいは両方が、"夫"や"妻"というものに対する一般的なイメージと違うことで争いが起きています。

一方、二人の間でお互いの望むことや感情について語り合うことができる夫婦の38パーセントでは争いが減少しています。

多くの人にとって、求める異性のイメージというのは、たとえそれがテレビや映画などから植え付けられたものだったとしても、簡単に消えないことが多いのです。

この点をよく理解して、現実のパートナーとのことについては、フィクションや子供時代からのイメージに惑わされることなく、現在の自分にとって何が大切なのか、よく考えてください。

男性にとって結婚とは

男性でも女性でも、人間は他の人との愛情のこもった人間関係を必要としています。

結婚はそんな人間関係の究極のカタチです。

なぜなら、社会に所属し、他の人々とコンタクトがあるということが、私たちに安心感を与えるからです。

ところがそこで陥りやすいのは、そのような他人との関係が「自分の心にあいた空洞を埋めてくれるに違いない」と考えてしまうことです。

けれども、もしあなたが自分を好きでなければ、いくら人と一緒にいても、あなたが自分を好きでないという事実を変えてはくれません。

そればかりか、そのことは人といい関係をもつことを難しくするでしょう。

ある調査によると、家事を平等に分担して行う夫婦は、そうでない夫婦より、お互いに対する満足度が19パーセントも高いそうです。

また、ひどいことを言われて傷ついた経験はだれにでもあると思います。

そしてそういう出来事は、二人の間にも起こるでしょう。

仮にそのとき、相手が謝って、あなたは許すことにしたとしても、あなたの心のなかで傷がまだ消えていなければ、あなたはその出来事のトラウマを心のなかにいつまでも抱えたままになるのです。

そんな心の痛みは捨て去らねばなりません。

心の傷をいつまでも抱えたままでいるのは、傷を毎日新たに更新しているようなものです。

それを捨てられるのはあなただけです。

男性にとっての結婚後の家事

多くの人にとって家事というのは面倒くさいものです。

好きという人は少ないかも知れません。

でも、だからといって、結婚後に男性が女性にすべて押しつけるのはいけません。

面倒なことでも二人で分担して平等にやらなくてはならないのは単純な事実です。

ある社会学者によると、多くの女性が床をピカピカに磨いたり、夫のシャツの襟の汚れを完全に取ることに喜びを感じるのは、女性が過去何世紀にもわたって洗脳されてきた結果なのだそうです。

そして、多くの男性はそのような条件反射的な感情をもたないため、やるべきことをやらないでサボってきたというのです。

この学者さんによると、男性も女性も家事が好きでないのは同じなのに、"世の常識"が女性にその仕事をさせるよう追い込んでいるのだそうです。

たとえば、家の中が汚れているとすると、男性は反射的に「ここは豚小屋か」とか「こんなところに住めるやつがいるか」などということを口にします。

すると女は条件反射的に罪の意識を感じてたぽちず掃除してしまい、男はただそれを待っているのだというのです。

それでも、最近ではこのような男女の傾向が大きく変わりつつあるということです。

けれどもそれがどう変わりつつあるのかというと、男性が家事をよくやるようになったのではなく、女性が以前よりやらなくなってきているという側面もあるようです。

若い男性の独身主義


今の若い男性が独身でいたいのは、結婚相手をハウス・キーパーとしてしか見ていないということが考えられます。

今の若い男性の独身主義が幻想でしかないのは、なんでも自分でできるから結婚しなくていい、と思いこんでいるところにあります。

言い換えれば、彼らは何のために結婚するのかわかっていないから、独身主義という幻想を抱いている。

彼らは、結婚の本来の意味を理解していません。

結婚とは自分の人生を生きている男女が、お互いに信頼し合って一緒に生きていくこと。

結婚の本質は、家事と仕事の役割分担といった即物的なものではなく、もっと精神的なものなのです。

いまや女性はだんだんとそのことに気づいてきて、人生を模索しています。

それが、未婚女性の増加とか、女性の結婚年齢の上昇という現象を生んでいる。

なのに、今の若い男性はというと、いまひとつわかっていないようです。

だから、独身主義できた男性は、まわりの男性がみんな結婚してしまうとあせるのです。

友達が家庭を作って落ち着いていくと、突然ひとりでいることのみじめさを感じてしまう......。

ほんとうの独身主義とは、そういうものではないはずです。

例えば、四十歳過ぎてもずっと独身でいる、あるいは結婚も離婚もしたことのある男性が独身主義者というのならわかります。

そういう男性には、生き方のスタイルがあるのです。

男性の結婚観

男性の結婚観について考えてみましょう。

最近は、男性よりも女性のほうが少し先を歩いていると言われています。

たしかに今は、女性よりも男性の意識のほうがちょっと遅れているような気がします。

つまり、女性が自分の人生について考え出しているのに比べて、男性はそうした女性の変化についていけない。

男性はいまだにどこかで、男は仕事、女は家庭と考えているようです。

例えば、今は男性の独身主義者が増えているらしい。

20代から30代の未婚男性の60パーセソトが、「当分、独身でいたい」と答えているそうです。

では、今の若い男性はなぜ、そう答えるのだろうかー。

彼らが独身でいたいというのは、若いときにはエネルギーがあるからだと考えています。

つまり、若いうちは元気があるから、仕事で疲れていても遊んで帰ってきても掃除、洗濯、炊事と、なんでもひとりでできる。

自分のことは自分でできるから、奥さんはいらない、というわけです。

もちろん、自分で身の回りのことをぜんぶできるのは結構なことです。

何もかも母親まかせできて、ボタンひとつ付けられないような男性よりはいい。

だけど、家事ができるから結婚しなくてもいい、というところに大きな問題があるのです。